機種変の行方-ソフトバンクの場合
番号ポータビリティによって、携帯キャリア間の移行が進む中、メーカー側としては生き残りをかけた戦略が必要となってきている。複数のキャリアために、同じメーカーが携帯を製造する場合、それぞれのキャリアが望む形状、内包するアプリ、操作性に合わせる必要がある。そこに、同じメーカーであっても、キャリアが違えば機種の内容も変わってくる、ということで、顧客の機種変を促すことができたのである。ところが、これは、メーカー側にとってみれば、複数の機種を同時期に製造しなければならない上に、1機種の投じた資本の回収がままならないうちに、次の新機種の策定にかからなければならないという点で、多大の負担を強いられることになる。しかし、インセンティブ制のもとにあっては、キャリアがメーカーの資本回収の保証をすることによって、メーカーも絶え間ない機種変への対応をうまくこなしてきた。
ところが、このインセンティブ制が、総務省の圧力でなくなる方向にある。それに早くから対応したのが、ソフトバンクであった。インセンティブ制がなくなることで困るのは量販店などの委託販売業者だけではなく、メーカーにも影響が出てくる。というのも、メーカーへの実質的保証がなくなるからである。とすれば、メーカー側としては顧客に機種変を促すには、唯一、魅力の継続する1機種を作る必要がある。しかし、これは外面のデザインだけではない。外面はすぐに飽きられてしまうからである。では、さらなる機能の増加か。否、機種変をする顧客がアプリの増加に興味をもっていない事実は、日本にスマートフォンがはやっていないことからもすぐに分かる。
ソフトバンクが行っている戦略は、この外面のデザイン(広告宣伝も含む)によるものである。その政策が奏効したことは、本年5月から9月までの純増数連続トップの座にあることからも明らかである。しかし、次の一手となる策、ソフトバンクにとってそれは何だろう。どのようにして機種変を顧客に促すことができるであろうか。それは、同じ携帯でありながらも「自分の」携帯といえるものであり、かつ、いつまでも「所有」しておきたい所有欲をくすぐる内実をもったものであり、さらに、「携帯せざるを得ない」ではなく、いつでも「携帯したい」と思うような内実をもったものである必要がある。そして、それは、「同種の携帯のシリーズ化」である。携帯にも、家電と同じく、遅かれ早かれシリーズ化の流れになっていくだろう。ソフトバンクを含めた携帯キャリアが顧客に機種変を促すことのできる道、それが「シリーズ化の道」である。